大阪国際空港の建築装飾について_1

金箔でもてなしの空間を表現する。

駅や空港は移動の拠点であると同時に、都市の顔であるともいえます。
旅行者にとってそのエリアの第一印象となる大切なものです。私たちは、これまでにも交通の要所にて金沢箔をあしらってきました。伝統の金沢箔によって日本文化の優雅さや華やかさを表現し、旅の疲れを癒す安らぎや、見知らぬ土地についた高揚感、またその都市の人々が持つおもてなしの心を感じてもらえるような空間を作ってきました。

大阪国際空港

関西の玄関口を、金箔で彩る。

2018年4月にオープンした大阪国際空港も、そうした物件の一つです。
特にここでの箔施工は、箔一にとって過去最大のものとなりました。おそらくは、現代建築における最大規模の金沢箔装飾の空間といえるでしょう。

大阪国際空港は80年もの歴史があります。
近隣に関西国際空港、神戸空港などがあるなかでも、大阪国際空港は都市圏へのアクセスに優れた空港として多くの人に親しまれています。この関西の玄関口で、日本の伝統文化を用いておもてなしの空間を作ることは、大変に意義のあることです。

大阪国際空港

中央口にあしらわれた、巨大なガラス。

特に大きく変わったのが、ターミナル中央の到着口です。
これまでは、到着口は2か所に分かれていました。それが、2018年のリニューアルで中央に集約されました。このゾーンには、商業施設が整備されたほか、モノレールやバスといった2次交通との連携も改善されました。都市型空港としての利便性を高めるとともに、近隣住民が立ち寄れるようなにぎやかな施設となっています。

私たちは、そうした空間に多くの金箔装飾をを行いました。
中央到着口の大きな特徴は開放的な吹き抜け空間です。柱に設置された大型ガラス。このガラスは、最長3mもある大きなものです。エッチングの技法で2本の優雅なラインが引かれ、その溝に金箔をあしらったほか、周辺に金箔を散らし、空から光が降り注いでくるかのような優雅なデザインとなりました。

大阪国際空港

新工房だからできた、大型ガラスへの加工。

この大型ガラスへの箔装飾は、工房にて仕様を決定しました。
スケッチをもとに、デザイナーと職人が打ちあわせを重ね、実際に金箔をあしらいながら最終のデザインを決めていきます。まず基準となるパーツをつくりあげ、それに準じて全部で60枚ほどのガラスを仕上げていきました。

この時、箔一ではちょうど建築装飾の工房を新設したばかりでした。3mもの巨大なガラスを扱うには、広い作業スペースが必要です。この新工房によって、必要なスペースが確保できました。そういう意味ではタイミングが良く、一つの縁も感じた仕事でした。またこのガラスは、あまりに大きいため通常の目線では仕上がりチェックができません。そのため2階から見下ろしながら指示を出すなどして、最終のクオリティーを決めていました。

大阪国際空港

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