箔一東山店

ひがし茶屋街のランドマークでもあった、銭湯時代の外観をそのまま受け継いでいます。

箔一東山店/銭湯「東湯」より補修改装

銭湯の広々とした大空間を、そのまま生かした再生計画。

東湯は、江戸時代からの由緒ある銭湯として親しまれてきました。
ひがし茶屋街の入口に位置し、白塗りの外観がひときわ美しいことから、ランドマークとしての役割も果たしていました。
時代の流れもあり、銭湯は廃業されました。あるとき、ここをギャラリーと見立てて、茶屋街の写真展が開催されました。天井が高く、柱の少ない広々した浴室が特徴でしたので、ここが作品の展示スペースとしても使いやすかったのでしょう。それを見に行ったのが、ご主人との出会いでした。いろいろ話しをする中で、ご主人が音楽の愛好家であることを聞かせていただきました。ご主人は、近い将来、ここを改装して、ニューヨークにあるようなジャズ・クラブをやってみたいという夢をお持ちでした。
私たちは、ジャズについては専門家ではありません。ですが、これまで物販店やカフェを運営してきた経験がありましたので、経営面でのサポートをさせていただくことになりました。それから長い期間をかけ、様々なことを話し合いました。一緒に東京や京都のジャズバーを見てまわったり、当時東京にいらっしゃった息子さんに会って意見交換をするなどして、新しい店のイメージを膨らませていました。そうして、おおよそ2年ほどが経っていきました。
そんな折に、ご主人に病気が見つかりました。入院し、闘病生活に入られましたが、経過は思うようにいきませんでした。やがて、ご主人はジャズ・クラブの夢をあきらめ、私たちに銭湯の跡地を託していただくことになりました。
すぐに改装の計画づくりに入りました。外観は、東湯時代のものをしっかりと保存し、看板なども含め同じものとしました。
一方、構造は老朽化がすすんでいたため、全面的な補強が必要でした。特に煙突の状態が悪く、万が一、倒壊などということがあれば、周囲に迷惑をかける可能性もありました。ご主人とも協力し合いながら、修繕は急いで進めました。また、銭湯時代の柱のない大空間を残すために、壁を補強することで強度を上げていきました。
そうして生まれた店内は、心地の良い広々とした空間となりました。高い天井も、銭湯時代の名残です。内装デザインは、茶屋街らしい弁柄色を基調とし、格子も取り付けました。せっかくの快適なスペースですので、すべてを売り場とせずに、一部を金沢の情景を模した休憩スペースにしました。また2階には、ギャラリーも設けました。
北陸新幹線が開業してからは、予想以上のお客様が来られたため、2階ギャラリーをカフェスペースに改装して、金箔ソフトクリームなどを楽しんでいただくようにしています。 店のオープンと前後して、東湯のご主人は、残念ながらなくなられました。
いま東山店の隣では、その息子さんがジャズを流すお蕎麦屋さんを経営されています。そうしてご主人の夢もまた、受け継がれ、実現しているのです。
高い天井と、柱の少ない大空間を生かすために、壁を補強して耐震性を向上させました。
広々としたスペースを活かした店内には、休憩スペースも設置しました。