粘り強い作業の末に完成した、ヤマハビル。

 

まさに「伝統と革新の融合」となった、銀座のランドマーク。

銀座のランドマークともなっている「銀座ヤマハビル」。
ここでは、金箔を用いた合わせガラスが外観に使われています。これは当時、日本でも初めてとなる試みでした。
リズミカルにあしらわれた金箔は、昼と夜でまた違った輝きを見せます。その個性的なデザインは、銀座のランドマークとしても親しまれています。
これらのガラスは、一つずつ、職人が手作りをしたものです。まさに、伝統と革新が融合したことで実現したデザインと言えます。

一枚ごとに砂子を振って作った、合わせガラス。

一見すると、金箔を貼ってあるように見えるガラスですが、実際には金粉や切り廻し(フレーク状の金箔)を振りかけて作っています。
砂子振り(又は砂子蒔き)という技法を用いていますが、これは伝統的な金箔の技法です。竹筒に網を張った「砂子筒」に金箔を入れ、粉を蒔くようにして金箔をあしらっていきます。
砂子を蒔く様子は、まるで金の雪が舞っているようでもあり、大変に美しいものです。実際に、伝統的な日本画などでは、砂子によって雪や霞なども表現されてきました。
 

伝統の技法を用いた、金箔とガラスの融合。

この砂子蒔きの技法が選択された大きな理由は、ガラスの構造にもあります。今回は外壁に用いるため、金箔をサンドイッチのように挟み込む合わせガラスが用いられました。この際、箔を全面に貼ってしまうと、ガラスの接着面がなくなってしまいます。挟む金箔を粉状のものにすることで、安定した状態を得られるよう工夫しています。また、粉を振りかけるために濃度の調整が可能となります。実際に、銀座ヤマハビルでは、砂子による調整で、濃淡2種類の金箔ガラスを作りました。

 

辛抱強い作業の上に完成した、新しい建築装飾。

砂子を蒔く作業は、すべて職人の手仕事です。箔の濃淡は、見本を作り、それを目視しながら調整していきます。加工するガラスは、95㎝角サイズ。ここに、ゆっくりと砂子を振り重ねながら、狙った濃度に仕上げていきます。この作業中、ほんの少しの風でも箔が飛んでしまうため、エアコンも十分にきかせられません。また、ガラスには接着剤が塗ってありますので、髪の毛一本、汗の一滴、ほんの小さな埃のひとかけらにまで神経をとがらせます。ガラスの枚数はおよそ1500枚。職人が変わると、感覚が変わってしまうため、少数精鋭の職人だけで日々作業を行いました。こうした地道な手作業の積み重ねによって生まれたのが、銀座ヤマハビルの美しい外観です。斬新なデザインにも、職人たちの細やかな手仕事が生きているのです。