日米首脳会談の手土産になった、金沢箔工芸品。

日米首脳会談の手土産に、金沢箔工芸品が選ばれました。

2017年。世界で最も大きな話題のひとつが、アメリカ合衆国のトランプ大統領の就任でした。これまでの大統領とは違い、堂々とアメリカ第一主義を掲げ、歯に衣着せず発言する姿勢には、各国の指導者も戦々恐々といいった雰囲気でした。このトランプ大統領との会談にむけ、日本側の手土産として選ばれたのが、金沢箔工芸品だったのです。
 

目次

トランプ大統領就任後、初めての日米首脳会談。
友好の品として選ばれた金沢箔工芸品。
会談の数時間前にあった電話。
多くの問い合わせに、皆で協力して対応を。
金沢箔工芸品にとって、大変な誇り。
選ばれた商品について① 花見鳥手許箱
選ばれた商品について② 蒔絵ボールペン 千羽鶴(金)
  



トランプ大統領就任後、初めての日米首脳会談。

当時の、安倍晋三内閣総理大臣とトランプ大統領。歴史上もっとも親密と言われた両国首脳ですが、2017年当時は、先行きは不透明でした。トランプ大統領の公約は「アメリカファースト」。TPPからの離脱など、保護貿易的な色合いを明確にし、また日米安保条約についても、日本側の負担増を求める考えを示していました。初めての日米首脳会談は、独特な緊張感の中で開かれることになりました。
 

  


友好の品として選ばれた金沢箔工芸品。

この大切な会談の席に、日本側の手土産として選ばれたのが金沢箔工芸品でした。その理由はわかりません。大統領が執務室のカーテンを金色にしつらえなおすなど、「金」を好むからであるとか、また日本的な風情が美しかったからなどとも考えられますが、実際のところは明らかにはされていません。



会談の数時間前にあった電話。

私たちとしては、外務省からの購入があったことは把握していましたが、まさかこのような重要な場面で使われるとは夢にも思っていませんでした。首脳会談が始まる直前に外務省から連絡をいただき、その日の夕方には、日本全国へと報道されました。その翌日は休日だったのですが、お客様や報道機関からの問い合わせが相次いただため、多くの社員が休日返上で対応をしました。
 


多くの問い合わせに、皆で協力して対応を。

こうした重要な場面で、金沢箔工芸品を使っていただいたことは光栄なことです。しかし、困ったこともありました。あまりに多くの注文が殺到したことです。メディアでの報道のあと、商品はあっという間に売り切れとなりました。私たちの工芸品は、一つずつ手作りです。どうしても時間がかかります。同じものが欲しいというお客様が相次いで、ずいぶんと多くのお客様にお待ちいただかざるを得ませんでした。

  


金沢箔工芸品にとって、大変な誇り。

2017年からの4年間、トランプ大統領の任期中、日米関係は極めて良好でした。もちろんそれは、安倍前首相を中心とした外交努力によるものですが、そのほんの一端でも、金沢箔工芸品が担えたのであれば、これほど光栄なことはありません。日本の伝統工芸を世界にアピールする意味でも、大変に大きな出来事であったと思っています。改めて選ばれた商品を、ご紹介します。


選ばれた商品について① 花見鳥手許箱

金箔を一枚ずつ手作業で切って貼っていく、手ちぎりの技法。四角い箔は格子模様をつくりますが、その境目がぼんやりと柔らかく曖昧になっています。箔ならではの独特のしわ感が微妙な陰影をつくり、伝統的な金屏風のような風情を醸しています。モチーフとなっている花見鳥は、うぐいすの別名。うぐいすは、日本人にもっとも広く愛される鳥のひとつです。梅の咲き始めから鳴きだすことで知られ、その美しい声で春の訪れを告げる鳥として親しまれています。


 


選ばれた商品について② 蒔絵ボールペン 千羽鶴(金)

全体に金沢箔をあしらったボールペンに、千羽鶴の図案をあしらったロングセラーです。千羽鶴は、古くより人々が願いを託すものとして親しまれてきました。あらゆる困難を乗り越えて飛んでいくイメージから、事業や学業の発展を祈念するモチーフでもあります。このボールペンは、小さなスペースながら、千羽鶴が生き生きと大胆に描かれ、華やかかつ力強い印象を与えています。