最高に難度の高いハードルに挑んだ、箔布の技術。
箔は、水と空気以外なら何にでも貼れるといわれます。しかし、1万分の1mmの金沢箔は、手で触ることはできず、吐息でも舞ってしまうほど繊細なもの。柔らかい素材に貼るのは、大変に難しいものです。その中でも、布は最大の難敵ともいえます。箔一では、この難易度の高いチャレンジを行い、布に箔を貼る技術を確立しています。
箔は、水と空気以外なら何にでも貼れるといわれます。しかし、1万分の1mmの金沢箔は、手で触ることはできず、吐息でも舞ってしまうほど繊細なもの。柔らかい素材に貼るのは、大変に難しいものです。その中でも、布は最大の難敵ともいえます。箔一では、この難易度の高いチャレンジを行い、布に箔を貼る技術を確立しています。
柔らかな布に箔を美しく貼るのは、非常に高い技術が求められます。私たちにとって最大の難関であり、技術を磨くためには最も魅力のあるチャレンジでもありました。
箔一では、技術開発部門において、布に箔を貼る技術を研究し、木目込み人形やバッグ、洋服に使う布に箔を貼る技を開発してきました。
技術開発とは、大変に根気のいる作業です。一般に箔を貼るときは、素材の上に接着剤を塗布し、箔を載せ、コーティングをするという3層構造となっています。
美しく箔を貼るには、あらゆる素材に対して、これらの最適の組み合わせを見出すことが必要です。それぞれに多数の種類があり、組み合わせは無限にあります。
その中から、あらゆる組み合わせを試し、正解を見つけ出すのは、気が遠くなるほどの作業なのです。
私たちの箔布は、美しい木目込み人形に使われています。木目込みとは木で作った本体に溝を彫り、そこに布を詰め込むようにして作る伝統的な人形です。このとき、布はかなり強い力で引っ張られるため、ここに箔をあしらうには高い技術が必要です。私たちは、箔布を使った木目込み人形を作っていますが、これは、箔一にしかできない技術です。雛人形や五月人形として喜ばれています。
人形の次に挑んだものは、ファッション性のある箔布でした。人形でも大変に難易度の高い素材ですが、洋服やバッグのような持ち歩くものになると、さらなる強度が求められます。洋服であれば、洗濯という大きな問題も生じてきます。多少の伸び縮みで箔が割れないことはもちろん、箔が動いても美しく見える加工方法なども開発しました。その後、箔のデザインと合わせた装飾性の高いバッグや、箔にエイジング加工を施した新しいファッションのデザインなども生み出しました。これらは高く評価され、「ものづくり日本大賞」において優秀賞も受賞しています。
2020年には、新型コロナ感染症が流行しました。こうした中、金箔をあしらったマスクを発表しました。マスクは毎日のように使われ、さらに洗濯も頻繁に必要となります。これまでにない難易度の高いチャレンジとなりました。しかし、新型ウィルスに世界中が悩まされる中でも、日常を楽しく過ごしてもらいたいという想いで、開発をしました。洗濯に耐えうる強さ、美しい箔の輝き、また日用品に求められる手ごろな価格帯といった難しい課題に挑み、クリアをしていったのです。