過去と現在をつなぐアートイベントにて
2023年は弘法大師空海御誕生1250年の節目となります。これを記念し、高野山で「高野山アートデイズ」が開催されました。聖地高野山を芸術という切り口で見つめることをコンセプトに、歴史ある仏教美術と現代アートが並んで展示されました。ここに、現代アーティストの吉本英樹氏の作品「Rose」が展示されることになり、その制作に協力をいたしました。
2023年は弘法大師空海御誕生1250年の節目となります。これを記念し、高野山で「高野山アートデイズ」が開催されました。聖地高野山を芸術という切り口で見つめることをコンセプトに、歴史ある仏教美術と現代アートが並んで展示されました。ここに、現代アーティストの吉本英樹氏の作品「Rose」が展示されることになり、その制作に協力をいたしました。

真言宗の聖地として名高い高野山ですが、空海がこの地を開く以前は「丹生都比売(にうつひめ)」という女神の領地だったそうです。伝承では、この女神が使いを送って空海を高野山に導き、社領の一部を譲ったとされています。空海はこれに感謝し、壇上伽藍に分社を作って丹生都比売を高野山の守り神として丁重に祀りました。以来高野山は1200年にわたって仏と神が共存する、神仏習合を守ってきています。

この高野山ではかつて「天野一切経会」というイベントが催されていたそうです。このイベントでは神職が舞楽を披露し、僧侶が読経をするという今でいう“コラボ”が行われていました。このとき舞楽に用いられた衣装が今も残されており、そこに華やかな薔薇が刺繍されています。これは、日本最古の薔薇の図柄ともいわれており、こうした史実からも丹生都比売神社は、いまも薔薇を大切にしています。

丹生都比売神社にも存続の危機がありました。明治維新ののち、時の新政府は神道を国家宗教にしようと画策し、神仏分離令を出しました。この際、丹生都比売を祀る壇上伽藍の分社が取り壊しの危機に直面します。高野山の僧たちは、ここに祀られているのは大日如来様であると説明して分社を守り抜きました。
撮影:照井壮平吉本英樹氏の作品『Rose』には、高野山の神仏習合の物語が表現されています。太陽を思わせる大きな円が中心にあり、その周囲を丹生都比売神社の薔薇が囲んでいます。仏と神が共存してきたこの地を象徴する図柄は、宗教の違いを乗り越えて互いを尊重しあう、平和な世界への祈りが込められています。

Roseの制作風景ダイジェストです
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