ゲランの名香であるミツコは、第一次世界大戦後の1919年、フランスで“ジャポニズム”が大流行していた時代に生まれました。当時、3代目調香師ジャックゲランが小説の“ラ バタイユ”の主人公である日本人女性“ミツコ”の慎ましやかでありながら、強い意思を秘めた女性像にインスピレーションを受けて創作した香りです。
この記念ボトルの装飾は、ミツコのコンセプトとなっている「日本女性らしさ」「美しさ」「芯の強さ」を表現したいという依頼で箔一に委ねられました。1年以上かけ、ゲランの想いを具現化した表現がどのようなものか探りながら、サンプルのやり取りを繰り返しました。試行錯誤の結果生まれたのが、独創性を表現したこの記念ボトルとなったのです。ボトルには箔一の職人が「散らし」と呼ばれる技法を用いて、一つずつ手作業により装飾しています。金箔は23.5カラット。熟練の伝統工芸士が時間をかけて丁寧に作り上げた素材を用いています。手作業で舞い散る金箔をボトルに施すため、それぞれの作品には唯一無二の魅力が備わっています。豪華な金箔装飾の上からは、カリグラフィーデザイナーである中塚翠涛が描く紅白梅が描かれており、ミツコの控えめながら情熱的な美しさが表現されています。
今回の『ミツコ』100周年記念スペシャルボトルは、箔一とゲラン両社の、時代に先駆けて挑戦し新しい製品を生み出す精神が合致して完成した傑作です。