株式会社箔一（本社：石川県金沢市森戸2-1-1）は、英国ラグジュアリーブランドGLOBE-TROTTERとアート＆デザインスタジオ TANGENT（代表：吉本英樹 氏）による新作スーツケースコレクション「Foil」において、外装の金沢箔加工を担当し、技術協力を行いました。
「Foil」は、宇宙機のサーマルブランケットやソーラーパネルなど、スペースクラフトが放つ金属的な美しさに着想したプロダクトで、外装には金沢箔（錫箔）を一枚ずつ手貼りする高度な工程が必要となります。今回、TANGENT・吉本英樹氏のディレクションのもと、箔一がその制作を担当いたしました。
本コレクションは、Carry-On（小型）とCheck-In（大型）の2種類で展開され、それぞれ数量限定の特別モデルとして制作されています（Carry-On：限定20点、Check-In：限定2点）。
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今回の採用にあたっては、TANGENT・吉本英樹氏がこれまで制作した金沢箔のアート作品（DAWN、Rose、高野山 恵光院月輪）を通じて、箔一が提供してきた“高度な箔装飾技術”および“長期間の使用に耐える技術力”が一貫して高く評価されてきたことが大きな決め手となりました。
箔一が行う箔装飾は、自動車インテリアをはじめとする過酷な使用環境での実績を持ち、LEXUSや一流ブランドの内外装の装飾など、耐久性と安定性が求められるプロジェクトで採用されてきた技術です。
今回の「Foil」スーツケース外装における錫箔の装飾は、手貼りでも、旅具特有の環境変化・摩擦・衝撃を想定し、素材選定から仕上げ工程に至るまで、耐久性に配慮した独自の箔加工ノウハウが活かされています。
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スーツケース外装に用いられるヴァルカナイズドファイバーは、強度と柔軟性を併せ持つ特殊素材であり、箔を均一に貼るには高度な技術が求められます。箔一は、自動車内装や建築内装といった過酷な環境における装飾実績で培ったノウハウをもとに、素材の伸縮性・温度変化・曲面特性を踏まえた貼り工程を独自に設計しました。
また、旅具特有の摩擦・衝撃・温湿度変化に耐えるため、箔の定着層・保護層を含む多層構造を採用し、錫箔の質感を損なわずに高い耐久性を実現しています。
さらに、錫箔はロットにより白さや反射特性が異なるため、今回は2種の錫箔を使い分け、大胆に千切りながら重なりを作る技法で、どの角度から見ても「光のゆらぎ」と「箔の個性」が立ち上がる表現を追求しました。職人による細密なコントロールとアートディレクションの融合により、工芸・アート・工業製品の交点でしか実現し得ない仕上がりとなっています。
箔一は、吉本氏とともに
など、素材研究と造形表現を深める複数のプロジェクトを実施してきました。これらの経験により、金沢箔の新たな表現可能性や、建築・空間スケールでの適応力が高まっており、それが今回の国際的プロジェクトへとつながりました。
「DAWN」（2024年）
「Rose」（2023年）
「月輪」（2022年）
「Foil」は、2025年12月3日（水）〜2026年2月5日（木） 伊勢丹新宿店メンズ館「Tangent インスタレーション」後期展示にて初披露されます。 （展示企画はTANGENTおよび伊勢丹新宿店によるものです）
Founder of TANGENT
デザイナー／クリエイティブディレクター。東京大学先端科学技術研究センター特任准教授。
1985年和歌山県生まれ。東京大学大学院航空宇宙工学修士課程を経て、英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート博士課程修了（デザイン工学博士）。
2015年ロンドンでTangentを設立し、東京大学で先端アートデザイン分野も共同設立。デザインとエンジニアリングを融合した手法で、 世界的ラグジュアリーブランドのコンセプト創出から新規事業開発、都市づくりまで幅広く手がける。
近年は日本の伝統工芸と先端技術を結ぶ「Craft x Tech」を創立し、アート作品発表を通じて日本文化の継承にも取り組む。2025年大阪・関西万博では和歌山ゾーンの総合ディレクターを務める。
受賞歴：日本人工知能学会優秀賞、IPAスーパークリエーター認定、和歌山県文化奨励賞、Lexus Design Award、Reddot Design Concept Best of the Best など。 https://www.tngnt.uk/
1897年創業の英国ラグジュアリー・トラベルブランド。旅鞄とレザーコレクションを、ヴィクトリア朝時代から続く独自の製法で、英国ハートフォードシャーの職人が手作業で製造している。
ロバート・スコット、W・チャーチル元首相、エリザベス女王、エディー・レッドメイン、ケイト・モスなど、多くの著名人に愛されてきた。
https://jp.globe-trotter.com/
