箔一の想い

伝統を守り、
人々の暮らしの中へ。

金沢市は、金箔の国内製造量の98%以上を占め、金箔の街とも言われています。
この地には400年もの箔打ちの歴史があり、私たちはこの伝統を守ることが、大きな使命であると考えています。
しかし伝統とは、ただ守るだけのものではありません。現代の生活の中で、人々から価値を認められ必要とされてこそ、意味があるのだと考えています。

伝統を守り、人々の暮らしの中へ。
それが私たちのものづくりへの思いです。
1975年 金沢箔工芸品の製造

箔一から始まった、
金沢箔工芸品の歴史。

金沢箔はその450年近い歴史の中で、ほとんどの期間、仏壇や蒔絵等の材料として扱われてきました。工芸品として価値が認められたのは1975年のこと、箔一が日本で初めて金沢箔を主役とした工芸品を生み出し、これに金沢箔工芸品と名付けたことが始まりです。私たちは、この美しい金沢箔の魅力をもっと幅広く伝えたいと思い、自らの手で工芸品を作りはじめたのです。
 
1976年 金箔打ち紙製法によるあぶらとり紙の発表

京都の芸妓に好まれた、
伝統工芸が生む女性の美。

箔打ち紙に皮脂を吸い取る性質があることは、古くから知られていました。しかし希少なため芸妓の化粧直しなどに限って使われてきました。1976年、箔一創業者の浅野邦子が「金箔打紙製法」のあぶらとり紙を発表します。箔打ち紙の再利用ではなく、あぶらとり紙のために和紙を打つ。このことで品質が大幅に向上し、衛生的で安価にもなり、女性の必需品となっていったのです。
 
1986年 香林坊アトリオに一号店をオープン

作り手の思いを表現し、
伝統文化を伝える場所。

丁寧に作った工芸品には、一つひとつに込めた想いがあります。それをお客様に直接伝えたいと考え、店舗を構えました。1号店は、金沢市最大の繁華街である香林坊。おしゃれなファッションブランドやカフェが並ぶ若者の街です。こうした立地に、伝統工芸の店を持つのは大きな挑戦でしたが、地域初となる箔貼りの体験教室を開催したことなどもあって、これまで金箔に触れたことがなかった人たちが、地域文化への関心を持つきっかけにもなっていきました。
 
1987年 料理用金箔の発売

金箔を食す伝統文化を
大きく広げていきたい。

食用金箔の文化は古くからあり、かつては「切り廻し」というものが用いられていました。これは、金箔を四角く揃える際にでる切れ端のことで、いわば余りものの再利用でもありました。明確に食用とされた金箔が生まれたのは1987年、箔一が生み出した「料理用金箔」が初めてです。衛生的で、使いやすい形状にしたこともあり、食用金箔の文化は大きく広がっていきました。
 
1997年 建材分野に参入

作品作りから空間づくりへ。
建築で輝く工芸の美。

金沢箔工芸品があると、空間全体が華やいだ雰囲気になります。やがて、金箔で空間そのものをデザインできるのではないかと考えるようになりました。寺社建築などで金箔を用いる伝統はありますが、現代の建築空間には華美に過ぎる印象がありました。私たちはここにアート性を取り入れることで、優雅で上品、かつ現代的な建築用の金箔という分野を生み出したのです。