2019年2月 5日

コラム 第8回 「次世代の人材育成」 PART1

カテゴリ

《経団連審議員会副議長として提案》

コラム 第8回 「次世代の人材育成」

 

日本企業の環境変化は、グローバル競争の激化と国内の急速な少子高齢化の進展と人口減少等により、国内市場ならびに地域経済が縮小しております。

天然資源に乏しい日本経済が将来にわたって成長を維持するためには、イノベーション力や技術力、そしてグローバルコミュニケーション力を高めた人材の育成と一層の強化が不可欠となっております。日本が明治維新以降、世界に追いつき、追い越してこられた長期的な成功要因は、「米百票」の精神にもとづく人づくりにあったと考えています。過去の経済界における成功者の多くも、最終的には教育に投資をする場合が多くありました。今後の日本にとっても引き続き人づくりが重要であり、地域経済の活性化や多様性のある活力を持った社会・経済づくりの基盤となるものと思われます。

 

日本企業がグローバル競争を勝ち抜いていくためには、従来のような型にはまった効率重視の人材育成ではなく、グローバルに活躍し、イノベーションを起こして新たな価値を創造できる人材育成に舵を取る必要があります。

私は以前から、企業が持続的に成長するためには、社内外で正しい競争力を生み出す戦略が必要だと提案してきました。そして日本の成長と発展も、この競争力の回復が最も大切なのではないのでしょうか。過剰な競争はもってのほかですが、個人を強くするため、組織を強くするためには適度な競争が必要です。

競争して成長していくというのが自然の法則であり、競争力の回復こそが次世代の多様性のあるダイナミズムを引き出す要諦です。グローバル競争の中で勝ち抜くためには、まず個人を強くし、次に組織を強くしなければなりません。近年課題だと感じるのは、人材不足の状況の中で、日本人の労働者の間で競争意識が低下している点があります。社内の中で、同僚に勝ちたい、出世したいと考える社員が減ってきているように思います。

 

「組織は戦略に従う」と言われますが、人材も戦略にそって育成する必要があります。今後は、日本もシンガポールのように海外から優秀な外国人を受け入れて、競争環境を整え、もう一度日本人の競争意識を醸成していく必要があると考えています。

 

また、オープンイノベーションなどの大企業と中小企業(スタートアップ)の連携・協業活動等を積極的に活用して、人材育成を図ることも実践的だと思われます。高度経済成長期に日本の中小企業は、大企業からの高度な要求に対し、真摯にこれに向き合い、不可能を可能にするようなテーマに取り組み、自らを「ストレッチ(伸ばす)」することで成長してきました。大企業と中小企業は連携することでともに成長できるのであり、この関係は将来においても変わりません。現在、私が委員長を務める経団連の地域経済活性化委員会では、上記のような考えから、大企業と中小企業のビジネスマッチングを進めているのです。

2019年1月21日

コラム 第7回 「働き方改革と労働生産性」

カテゴリ

《経団連審議院会副議長として提案》

コラム 第7回 「働き方改革と労働生産性」

 

経団連は夏季フォーラム2018経団連宣言で、働き方改革について「多様な人材がイノベ―ティブに活躍するための働き方改革を加速する」と言う宣言をしました。この働き方改革につきましては、大前提として日本全体の企業で推進すべき課題だと捉えております。また働き方改革を実施する方法やタイミングについては、各企業の判断に委ねられるべきと思います。

 

特に大企業と中小企業に分けた議論が必要と考えております。

中小企業については、すぐに実施できる余裕のある企業とそうでない企業があり、中小企業の事情にも鑑みた政策であるべきです。日本の中小企業の強みとする「手わざ」や「感性」を重視する創造性の高い仕事は、時間の制約を受けずに取り組まなくてはならず、労働時間を短縮しにくい領域もあります。

 

中小企業では社員数は少ないものの、個々の労働者に目を向けると多様な人生設計がありますので、単純に労働時間を短縮するのではなく、ライフステージに適した働き方を労働者が選択できるような制度設計をする必要があります。例えば、労働時間に縛られず成果に応じた報酬を得たい世代については、裁量労働制を選択できるようにします。また、子育てや介護等の家庭の事情がある場合には、フレックスタイム制、短時間正社員制度等を選択し、出退社の時間に自由度を持たせる必要があります。人生のライフステージに応じて働き方を選べるようにする必要があるのです。人材の採用が容易でない地域の中小企業においては、このような多様な働き方ができるような制度設計を行い、育った人材が長く働いていただく職場を整備することが求められます。

 

他国に目を向けると、日本よりも労働時間や労働生産性が上回る国もあります。

例えば、意外ですが、米国は日本に比べ労働時間が長く、労働生産性も高いため世界的な競争力を維持しております。日本全体の事を考えると、労働生産性を上げる前に労働時間を短くしてしまえば、国際的な競争力が落ちるのではないかと危惧しております。このため労働時間の短縮と労働生産性の向上については、同時並行に推し進めて、日本の国際的な競争力が低下しないよう留意する必要があります。

 

労働時間短縮については、労働基準法の改正により残業時間の上限は「月100時間未満」となり、違反した企業には罰則が科されることになります。しかし、中小企業の仕事は中小企業だけでマネジメントできない部分があります。発注元である大企業から急ぎの仕事が入れば、可能な限り対応せざるを得ません。よって、大企業も下請けである中小企業の働き方を見据えて、中小企業の従業員に無理な働き方が生じないような発注をする必要があります。大企業は自社だけでなく、下請けも含めたサプライチェーン全体の働き方を検討すべきであるのです。

 

一方労働生産性の向上については、基本は業務の効率化と改革に向けた継続的な努力が必要になります。日本の企業や行政の働き方を変えていく、生産性を上げていくためには、最終的には権限と責任を最適に配することが重要だと思います。企業においては、コンプライアンスを守りつつ、権限や責任を委譲していくことが生産性に繋がります。そして、この権限と責任を最適化するためには、先ず全社的に業務の棚卸を実施することが必要です。業務が経営資源に見合った効果を上げているかを分析し、効果が見られなければ業務の削減、縮小、方向性の転換(改革)をすることになります。この業務の棚卸により、業務の内容や手順が明確になり、結果として多様な働き方(ダイバーシテイ&インクル―ジョン)や多能工化などが進み、業務を複数の従業員でカバーするジョブローテーションが可能になります。

 

そして最も重要なのは、経営者が先頭に立ってリーダーとしての旗を振り、発信を続けることで社内に意識改革を起こすことです。経営者自身の働き方改革に対する確固たるビジョンと危機意識を社内に対して、継続的に忍耐強く示していく必要があります。

 

今後、日本の企業に求められるのは、ビッグカンパニー(売り上げ)よりもグッドカンパニー(利益率や持続性)という考え方だと思います。民間企業や行政において、適切な権限と責任の分担がなされ、「生産性や利益率」が重視される国、「量より質」が重視される国に変化していく必要があるのではないでしょうか。

2018年11月 8日

コラム 第6回 「憲法改正」

カテゴリ

《経団連審議員会副議長として提案》

コラム 第6回  「憲法改正」

 

「経済人が政治を語るべからず」とする風潮は長く一般的なものでした。特に地方部では、現在でもこの風潮が基本にあります。

 しかし、安倍政権が憲法改正の議論を開始して以来、東京の経済界においては、これまでの聖域に踏み込む形で、憲法改正が議論されるようになりました。

 そもそも企業は国へ納税しておりますので、企業あっての国家であり、企業は国のあり方について遠慮せずに政府へ意見を述べていくべきというのが、私の意見です。そして、憲法は国のあり方の基本を規定するものでありますので、企業としても当然意見を述べていくべきと考えます。

 

憲法改正について検討する際に、我々は日本のことだけではなくて、世界の状況や国際情勢、地勢学的な戦略も踏まえなくてはなりません。

世界を見るとトランプ政権の樹立が潮目となり、一種の保護主義的な動きが潮流になりつつあります。中国の一帯一路も、かつてのシルクロードの範囲を超越し、アフリカ諸国まで取り込みつつあります。さらに、ヨーロッパに目を向けると、イギリスがEUから離脱し、さらにドイツのメルケル首相も引退を決めて、保護主義的な動きに対立し、協調を旨としていたEUが力を失いつつあります。

このような状況を鑑みますと、日本は世界との協調はこれまでどおり重視しつつも、他国に過度に依存しない、自らの足で自立する大人の国へ成長する必要があると思います。そして、そのためには自民党が提示するような憲法改正は自然な流れにあるのではないかと思います。

 

おそらく安倍政権で憲法改正を達成できなければ、さらに50年は無理でしょう。今このタイミングで憲法改正をすることが、本当の意味で戦後を終わらせ、日本が未来に向け成長して行くための基盤になると考えています。

2018年10月24日

選挙制度の改革を提言

カテゴリ

次世代の選挙制度として新たに3点のアイディアがあります。

 

第一には、地域を離れて都市部へ転居した人間に、ふるさとへの投票権を認めるふるさと選挙です。

選挙権を与えることで引き続き地域に関心を持っていただくことで、いずれUターンにもつながると思います。ふるさと納税のかわりに選挙権を与えるのも一案かと思います。

 

第二に、インターネット選挙で、若者の投票率向上を目指します。世界のどここからでもインターネットで選挙ができれば、投票率は向上するはずですし、ふるさと選挙を実施するためにもインターネット選挙が必要です。

インターネット選挙にはセキュリティーの確保が必須ですので、マイナンバーカードのシステムなどを活用し、万全の体制を整えます。それは政府のしっかりした対策が必要でしす。

 

第三に、過度なシルバー民主主義を是正するために、選挙権の定年制もしくは自主返納を提案しす。選挙権は90歳まで、それ以上は引退を選択できるようにすべきでは。

免許証を返納するよう日本の若い人材を信頼し米100俵の精神で未来を託します。100歳時代からこそ次世代を担う子供の為に‼︎

2018年10月23日

女性省新設提言

カテゴリ

経団連の役員になった2年半前、2016年4月13日、日本全体で女性の社会進出を進める本気度を示すために、「女性省」の新設を参議議員の方に提言いたしました。

そして、2018年5月26日には参議院政策審議会で女性省提案を検討してくださることになりました。

 

日本では安部政権において女性活躍を提唱しながら実際にはまだまだ実行されていません。

現在内閣府男女共同参画局にありますが局から省に格上げし「女性省」を新設することを当時の野田聖子前総務大臣にも直接お話させていただきました。

 

女性の社会進出を促進するため、諸外国では女性省を作り、ここに権限を集中させて、女性の社会進出を進めています。欧米ではカナダ、ドイツ、オーストラリア、アジアでは韓国、タイ、ベトナム、フィリピン、バングラデシュなどに女性省が存在します。

 

かつて、日本では高度経済成長時代に、経済の成長の影で環境が悪化し、多くの公害問題が発生しました。

その後の世界的な環境改善の動きも捉えて、日本では、1971年に環境庁が新設され、その後2001年にこれが環境省になり、日本の環境問題への取り組みが大きく推進しました。

これと同じように、女性の社会進出を強力に推進するために、女性省の新設を提案するものです。

 

ここで普遍的に重要なポイントについても考えてみようと思います。私の周りには優秀な女性が数多く存在しますが、彼女たちに共通するのは、「女性枠」で認められるのではなく、「実力」で評価されたいという思いです。

女性だけでなく、社会で活躍する多様な人々に対しても共通して言えることですが、重要なのは「結果の平等」ではなく、「機会の平等」が与えられることだと考えます。

 

例えば取締役の女性の割合が問題となりますが、取締役の女性の割合や人数を決めるべきではなく、女性も男性と同様に取締役になれる機会が保障されていることが重要で、実際に取締役になれるかどうかは男女関係なく、実力次第で判断されるべきです。

創業者としての経験を踏まえると、どこかを優遇すると、必ずどこかにひずみが生じます。すべての社員を、公平に、平等に考えることが、最も基本であり、重要なことであるのです。