2018年9月 4日

Society5.0と人材マッチング

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《経団連審議員会副議長として提案》

コラム 第2回 「Society5.0と人材マッチング」

 

現在、政府や経団連では、Society5.0の社会の実現に向けて、様々な検討が進められています。Society5.0の社会が実現すると、センサーやカメラにより様々な情報が収集され、収集されたビッグデータをAIが分析し、AIによる分析結果に基づきロボットが作業を行う世界になります。労働力不足に対応するとともに、かつ労働生産性を向上させていくためには、日本の経済界にとってSociety5.0への挑戦は避けては通れない取組となります。

 

Society5.0の社会が実現しますと、これまで人間が行ってきた仕事の一部は、AIやロボットが行うようになります。例えば、金融界では、すでにSociety5.0社会へのシフトを見据えて、みずほ銀行が19,000人、三菱東京UFJ銀行が9,000人、三井住友銀行が4000人の人員削減を発表しています(ただし、いずれにメガバンクも、定年退職などの自然減による人員削減を主にしている)。一方で、メガバンクがSociety5.0社会へのシフトを見据えて削減する人材は、地域の中小企業から見ると、「のどから手が出るほど」欲しい人材になります。私はこのような金融機関をはじめとする大企業の余剰人員と、地域の中小企業の不足人員をマッチングさせる仕組みが必要だと考えています。

 

人材を紹介するサービスは、人材派遣やヘッドハンティングを業務とする民間企業がすでに提供しておりますが、これを利用するには高い報酬を支払う必要があります。人材一人を採用すると、その報酬として数百万円を支払う必要があるのです。これは、一般的な中小企業には高いハードルとなります。私は、余剰人員と、不足人員をマッチングする仕組みを、政府や経団連が整備し、地域の中小企業が無償もしくは廉価で利用できるようにすべきだと思います。

 

最後に、人間とAI・ロボットの本質的な役割分担について考えてみようと思います。私は、人間の仕事のすべてが、AI・ロボットに奪われるとは考えていません。AI・ロボットが万能であるという「強いAI・ロボット」ではなく、人間が行ってきた単純作業のみが代替されるという「弱いAI・ロボット」を前提とすべきです。つまり、Society5.0が実現された社会においても、結局は人材こそが企業の成長の源泉となるのです。そのためにも私は人材のマッチング機能の必要性を提言したいと思います。

 

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