2017年8月 4日

働き方 中小企業の視点を

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7月下旬、軽井沢プリンスホテルで経団連の大イベントの夏季フォーラムが開かれました。今年は、トランプ政権を取り巻く国際情報、サイバー空間と現実を融合した社会の実現を目指す「ソサエティ5.0」、安全性や環境への配慮を踏まえたエネルギー対策、通商政策など様々な議題が挙がりました。

 

経団連の審議員会の副議長に就任したのは1年と少し前。昨年のフォーラムでは何もわからず知恵熱が出ましたが、今年は少しは慣れ、「活力ある中間層の形成と格差是正」の議題で、「中小企業の視点」と「地域の視点」を重視した私なりの提言ができました。

 第一に「働き方改革」です。現在、日本では労働時間の短縮に向けての取り組みが取りざたされていますが、まず、大企業と中小企業に分けた議論が必要です。

 

 日本の中小企業が強みとする「手わざ」や「感性」を重視する創造性の高い仕事は、時間の制約を受けずに取り組まなくてはなりません。労働時間を短縮しにくい分野があります。日本の経済を支える中小企業の特性をかんがみた働き方改革を進めていく必要性があります。

 

 また、管理職やトップレベルの人材などは裁量労働制による固定報酬で、それ以外はすべて労働時間に応じた報酬―――というのではなく、フレックスタイム制や専門業務型裁量労働制などを採り入れ、労働者の階層をより詳細に分けた複合型の労働形態を取り入れることも必要ではないでしょうか。

 

 他国に目を向けると、日本より、労働時間や労働生産性が上回る国もあります。例えば、米国は、日本に比べ労働時間が長く、労働生産性も高い。このような中、長期的に日本の競争力を高めていくため鳥瞰的に議論することも必要です。

 続いて「地方創生」。ポイントは、世界から地域へ「人」や「金」が流れ、逆に、地域から世界へ「物」や「情報」が流れる仕組みを複層的に創造することです。特に、地域の市場は今後、縮小が見込まれるので、地域の企業が製造する物を世界に向けてどう販路を開拓するかが重要です。

 

 このような観点から、現在、経団連と北陸経済連合会は、北陸の中小企業と、経団連に加盟する大企業などとのビジネスマッチングを手がけています。この活動を通じて、地域の中小企業の経営基盤を持続的に強化することができれば、地域の雇用やまちづくりにもつながっていきます。

 

 これらの取り組みを進めるには、いずれも、次世代の日本を支える「人材育成」が必要になります。今こそ「米百俵の精神」で、将来の日本を支える人材について議論することもまた重要だと思います。

 

(8月4日(金)讀賣新聞 石川版「浅野邦子の金言」より)

2017年8月 1日

月刊経団連 2017年8月号

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(月刊経団連2017年8月号より)